【外構DIY】水盛り管を使った敷地の勾配測定

雑草だらけの敷地を改善するため倉庫前の約88平米を砕石敷きにすることにしました。一部分だけでも草刈りから解放されるとありがたいです。大雨の時などの水はけを考慮して2%以上の勾配は確保したいと思っています。
そこで水盛りという昔ながらの方法で敷地の勾配を計測しました。水盛りは透明チューブを使った測量方法で、レーザー水準器の使いづらい明るい日中や広い屋外で手軽に水平を出せる方法です。
透明チューブ以外にバケツが一つあれば準備完了です。

お金が掛からないのも魅力かな
杭を打つ
敷地の勾配(傾き)を計測する範囲を決めるところから始めました。今回砕石敷きにする範囲はおよそ88平米、27坪ほどです。浄化槽や排水マスなどの高さを変えられない構造物で囲むように範囲を決めたのでそれらの隣や角になる位置に杭を打ちます。菜園で使用したグリーンポールや拾ってきた単管などを使いました。




ほぼ平らな場合は別として明らかに高低差が見える場合は一番高い方を基準とすると分かりやすいと思います。自分は水栓横の土間コンが一番高そうだったので基準としました。そして基準の杭から計測することにします。
基準の杭は地面に刺した状態で30~40センチの長さがあれば足りると思いますが、それ以外の低い位置に使う杭はそれ以上(高低差分)の長さのある杭が必要になります。
例えばですが、基準の杭(一番高い位置)の地面から30センチの位置に印が来た場合、1メートル低い位置にある杭は1.3メート以上の長さが必要になります。当たり前ですが・・・。広いと意外と高低差を感じないもので、計測して初めて杭の長さが足りないとか、意外な高低差に驚いた訳です。
水盛りで水平を出す


水盛りとは、土木工事なんかで地盤高さや勾配を確認する昔ながらの方法のことです。どちらかといえば水平を出すために使われることが多いように思います。昔は透明なチューブがなかったため木製の箱に水を注いで水平基準面を決めていました。この方法が「水盛り台」と呼ばれたのが「水盛り」の語源らしいです。
透明チューブを使った水盛りではチューブ内を水で満たすとチューブ内の水面とバケツの水面の高さはいつも同じになる性質を利用します。
計測範囲のおおよそ中央にバケツを置いて透明チューブが全ての杭に届くことを確認します。バケツの水面の高さが杭に印をつける位置となるので適当な台などに乗せて調整します。
バケツに水を入れたら透明チューブ内に水を吸い込んで満たします。ホースの先に口を付けて吸っては指で塞ぎ、吸っては塞ぎをくり返し、吸い口まで水が来たら完了です。気泡があると正確に計測できないので水を流しながら抜きます。




チューブはあまり細いと計測しづらいので直径でいうと20ミリ前後のものが良いように思います。あと硬いチューブも扱いづらいです。自分が買ったチューブは硬く巻きぐせが取れなくて伸ばすと折れてしまい何度も直すはめになりました。寒い時期は特に注意です。




今回は一番高い位置にあると思われる水栓横の杭から計測しました。基準となる杭(一番高い方)に透明チューブ(水盛り管)を当てて計測する際に地面ギリギリだと計測しづらいので地面から少し離れた位置に印をつけます(今回は地面から15センチ程でした)。
バケツの水の量や置く位置(高さ)で計測しやすい高さにチューブ内の水面がくるように調整します。この時、透明チューブと杭の両方に印をつけるようにします。一本目の杭(基準の杭)で透明チューブと杭の両方に印を付けたら後は簡単です。
他の杭に透明チューブを沿わせてチューブの印と水面が合う高さを管を上下させて探します。水面はゆっくり動くので少し待ちましょう。合う高さを見つけたらその印の位置を杭に付けます。これを他の杭にも行います。
他の杭まで透明チューブを引っ張って行く時には水がこぼれないように親指でフタをして移動します。また、透明チューブを持った手を高く上にあげたりするとバケツの水面が上がってこぼれる恐れがあります。
各杭の高低差を出す


全ての杭に透明チューブ内の水面の位置を印す作業が終わったら、それらの印の地面からの高さを計測します。今回の作業では計7本の杭を使いました。
計測した杭 | 地面からの高さ(ミリ) | 基準杭との差(ミリ) |
杭1(基準) | 150 | 0 |
杭2 | 220 | 70 |
杭3 | 380 | 230 |
杭4 | 580 | 430 |
杭5 | 550 | 400 |
杭6 | 220 | 70 |
杭7 | 170 | 20 |
計測した結果は上記のようになりました。杭1は最も高い位置にあり基準とした杭です。この150ミリは印のつけやすさから任意に決めた高さです。ですので杭1の150ミリを0ミリとして考えて他の杭との差を出します。
各杭の計測数値から150ミリ引いた数値が基準杭との高低差になります。例えば杭2の地盤面は基準の杭の地盤面よりも70ミリ低い事が分かります。杭3は基準杭よりも230ミリ低く、杭2に対しては230-70=160ミリ低い事が分かります。
距離を測る


各杭の高低差が分かったので次に勾配を出す為に杭間の距離を計測します。高低差と距離から勾配が分かります。1メートルの間で1センチの高低差があれば1%の勾配ということになります。1/100勾配などとも表記されます。排水管の管路設計などの時にも使われ、1/50勾配もしくは2/100勾配がよく出てきます(2分勾配)。
この考え方でメートル法ではなく尺貫法を元にしたのが屋根勾配の表記に使われる寸を使った勾配です。水平10寸に対して何寸立ち上がっているかという表記になります。例えば水平10寸(約30センチ)に対して4寸(約12センチ)上がる勾配であれば4寸勾配ということになります。
距離を測っておくと面積が出せるので後に砕石を敷くときに必要な量を計算できます。厚み(m)×面積(㎡)⁼必要量(立米)なので例えば10センチの厚みで80㎡に敷きたい場合、0.1(m)×80⁼8立米必要だと分かります。
勾配が分かる


杭間 | 高低差(mm) | 距離(m) | 勾配(%) |
杭1-2 | 70 | 6.3 | 1.1 |
杭2-3 | 160 | 9.9 | 1.6 |
杭3-4 | 200 | 7.9 | 2.5 |
杭4-5 | 30 | 2.7 | 1.1 |
杭5-6 | 330 | 7.65 | 4.3 |
杭6-7 | 50 | 5.05 | 1 |
杭7-1 | 20 | 6 | 0.3 |
各杭間の距離を計測した結果が上記の表です。高低差(㎝)÷距離(m)=勾配(%)になります。基準杭と杭7、杭6の辺りは土間コン沿いなので勾配がかなり緩めになっています。
基準杭から浄化槽のある杭2にかけても勾配が緩めです。建物から離れる方向なのでもう少し勾配があっても良さそうなのですがコンクリート構造物の高さは変えられないので、地盤面を低くすると浄化槽などが変に高く見えることになります。逆勾配でもない限りはこのままで良い気がします。
その他の部分についてもそれなりに勾配があって水はけ的に問題なさそうなので特に変更しないで進めることにしました。
敷地の面積は変形していて計算が出来なかったので職業訓練校で教わったJW-CADを使って出しました。最近はJW-CADを使って革製品の設計などもしています。できることが多いので教わって良かったとつくづく思っています。
まとめ
庭に小屋をつくるとか駐車場を整備するなど外構のDIYで勾配や水平を確認したい場面は色々あると思います。レーザー水準器は高価ですし、あまり広いと使えません。晴れた日中の視認性も悪いので水盛り管の出番となります。
やってみると簡単ですし外構では十分な精度だと思います。塀などの1面のみであればバケツを使わず透明チューブ1本で計測することもできます。
広い空間を計測する場合は中央にバケツを置いて全ての杭に届く長さ+αの透明チューブを用意しましょう。後はバケツの高さ(バケツ内の水面)を調整すれば快適に計測できます。
機会があれば試してください。
ではまた。